地方都市から人が減り、地価の下落傾向が続く中、所有者の居所や生死が直ちに判明しない、いわゆる「所有者不明」の土地が、災害復旧や耕作放棄地の解消、空き家対策など公益上の支障となる事例が各地で相次いでいます。
こうした現状を受けて、国土交通省が先月、「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン」を公表しました。
「所有者不明化」の大きな要因の一つに相続未登記の問題があります。
相続人が相続登記を行わないまま世代交代が進むことで、法定相続人の権利関係が複雑化しており、全国的にも実態把握や要因分析が進んでいません。
こうした背景には、問題を生じる事例に発展し、東京財団のアンケート調査では全国で557自治体から具体的な回答を得ています。例えば、
1)固定資産税の徴収が難しくなった
2)老朽化した空き家の危険家屋化
3)土地が放置され、荒廃が進んだ
などが上位に挙げられています。
そもそも任意である権利登記であり、そのわりに実質的な所有者情報源となっている現状では、今後、空き家対策や地籍調査などの整備に影響が及びます。
自治体としても法制度を含め、見直しが急務であると思います。