ひろとBlog

世界は環境政策を競争

 衆参ねじれ現象のなか、暫定税率や道路特定財源をめぐって、今まで与野党の攻防が続いてきたなか、今年7月に洞爺湖サミットに向けて、世界各国が環境問題に関する政策競争をしていることが、1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にて、明らかになった。
 例えば、日本では高速道路を利用するときは、お金を支払うが、その他の道路ではお金は取られない。
 ところが、ロンドンでは、市の中心部を走る自動車には、日本円にして1日1600?1800円も課金されるのです。さらに、ハイブリッドカーや電気自動車からはお金は取らず、燃費の悪い車から高いお金を取って、CO2削減を誘導している。2012年にロンドンでオリンピックが開催される理由がわかった気がした。
 これからは、開発型経済成長のためではなく、環境問題に配慮した政策モデルやビジネスモデルを構築するような国が評価されていくのである。
 たとえば、東京都では、今後、街路樹を2倍に増やす計画を立てているし、小学校のグランド芝生化も進めていく、さらに1年で2万を目標に太陽光パネルの設置に助成金を出すことになっている。
 私たち日本も国民も環境問題に関する競争に加わっていかねくてはいけないと思う。

 その一方で、日本ではガソリンを安くしろ、安くしろと騒いでいた。そんなドメステッィクな話に終始している様子は、海外からは冷やかに見られても仕方がない。
 EUの国々では、ガソリン210?220円/リットルもする。日本の場合は暫定税率があってもEUに比べてだいぶ安い。では、なぜそんなに高いのか?
 ドイツでは、ガソリン税の一部を年金に回したりしているのである。すなわち日本のガソリン税=道路という考え方ではないということである。
 そうしたように、ガソリンは燃やすことによってCO2を排出するわけなので、CO2削減対策に使うとか、それぞれの自治体に一番適したお金の使い方を考えればよいのではと思っている。
にも関わらず、日本では道路特定財源を一般財源としてどう自由度を増して使えるのかではなく、ガソリン税を下げるか下げないかという論争ばかりをしている。

 道路建設について述べれば、全国一律の規格で道路を造ればムダは生じてしまう。規格は地方に任せるべきだと思う。そうすれば2車線で十分な道路に3車線の道路を造ることは避けられるだろう。
 かつて小泉政権では、道路特定財源の一般財源化を打ち出したが、福田政権になって改革は逆行してしまった。自民党は、道路特定財源の暫定税率は10年間延長し、59兆円を道路のみで使わなければならないとしている。
 一方で民主党は、暫定税率を廃止しろと叫んでいる。しかし、いきなり暫定税率を廃止したら、建設業の雇用に大打撃を与えてしまう。地方の基幹産業である建設業では、約100万人単位の失業者が出てしまうと予測されている。極論では改革はできないのである。
 
 小泉政権発足後、公共事業は年3%削減し続けてきている。道路特定財源から道路公団への年間3000億円の補助金も廃止した。その結果、すでに7000億円もの余剰が生まれているのである。これだけでもすぐに一般財源化すべきである。
 そして暫定税率は当面維持し、地方分権を併せて一般財源化し、道路事業費は59兆円ではなく、もっと削って40兆円台にできるのではないだろうか。
いずれにしても改革を進めるビジョンを政府ははっきりと打ち出すべきである。
 また民主党は、暫定税率を廃止せよと言うならば、失効した場合の年間2.6兆円の税収減を明らかにすべきであり、公共事業が削減され、建設業界における失業者への雇用対策も具体的に示さなければ、無責任である。
 いずれにしても、改革とは大変な作業であり、地道な道のりである。今回のガソリン暫定税率における与野党の攻防は、世界の潮流からは見れば大変な時代遅れな出来事だと感じる。人気取りの極論に走るのではなく、冷静に責任ある議論をすべきであると考えます。
 こうした極論に私たちも惑わされてはいけないし、極論をベースに考えること自体が冷静さを欠いてしまうと思う。

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