ひろとBlog

危険運転致死傷罪のハードル

 23日に京都府亀岡市で、登校中の小学生の列に軽自動車が突っ込み、10人が死傷した事故で、少年は、自動車運転過失致死傷などの疑いで送検されました。
危険な運転によって人を死傷させた場合は、より刑の重い危険運転致死傷の罪が適用されることがありますが、少年に適用するのは難しいとみられています。

 どうして?かと言うと、
 少年が送検された自動車運転過失致死傷の罪は、運転中に誤って、つまり「過失」によって、人を死傷させた場合に適用され、刑の上限は懲役7年です。
 一方、悪質な違反への罰則を強化するために、平成13年に設けられた危険運転致死傷の罪は、飲酒運転など危険な運転で人を死傷させた場合に適用され、「過失」ではなく「故意」があったとみなされ、刑の上限は懲役20年と、大幅に重くなっています。

 専門家によりますと、居眠り運転は通常、「故意」ではなく「過失」だとみなされるため、危険運転致死傷の罪を適用するのは難しいということです。
また、この罪の規定にある「進行を制御する技能があったかどうか」については、無免許かどうかではなく、実際に運転の技能があったかどうかが判断されるため、「一晩中運転していた」という少年は、逆に「技能があった」とみなされる可能性が高く、この点からも適用は難しいとみられます。

 悪質な違反の厳罰化を求めてきた背景を考えれば、今回のようなケースで、危険運転致死傷の罪が適用されなければ、何のためにできた法律なのか?と感じます。現状では適用されるケースがあまりに少なく、捜査機関は危険な運転が明らかな場合は、ただの過失で済ませずに、きちんと適用できる法整備が喫緊の課題だと考えます。

 警察庁によると、危険運転致死傷罪ができた平成14年以降、無免許運転による事故でこの罪が適用されたケースは合わせて22件。
このうち去年は、長崎県で無職の17歳の少女が無免許で車を運転し、横断歩道を渡っていた男性に衝突した事故など合わせて3件で、危険運転致傷罪が適用されました。
しかし、いずれの運転手も公道での運転経験がまったくないか、それに近い運転技術しかなかったということです。

自動車を運転するには免許が法律で義務付けされているにも関わらず、危険運転致死傷罪では免許の有無が基準になっていないとは・・・・。

全く矛盾していると言わざるを得ない。

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