ひろとBlog

場の空気

「よくないと思いながら、あの時の空気ではそうするしかなかった」

大人だけでなく、子どもの口からもそう聞くようになった。時代を象徴するような弁明の言葉である。
ここで言う“場の空気”とは「人々の気持ちを支配するその場の雰囲気」であると思う。

かつて「シンドラーのリスト」を読んだ時、ポーランド人がヒトラーの政策における特別居住区(いわゆるゲットー)に移動するユダヤ人の人々の行列に対して、罵詈雑言を浴びせる場面がある。
昨日まで、隣人として仲良く接していた同志がたった1日でこんなにも豹変してしまうものかと、人間の心の奥に住む魔性に憤りを覚えたことがある。

日本人は場の空気に弱い。流れの中で自分の主張とは違った結論が出たとしても、それに従い、自らの意思を表明しない傾向が非常に強い。その場の決定に加担したことに等しい。
ところが、空気の出した結論に自らを埋没させた後悔からか、事後になって「実は・・・」という言い訳が顔を出す。

時代は、言動に筋を通し、明快な言葉で人々の内面にくすぶる鬱憤を代弁してくれる人に共感を覚えるのだ。

だからこそ、自分の言葉を磨き、誰かに期待するのではなく、一人一人が重たい空気を破りゆくことが大切であると思います。

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