アメリカの大統領選が共和・民主両党の候補者選びがいよいよ佳境にさしかかり、喧噪を極めており、報道も賑わっています。
しかし日本を含む世界中に影響のあるアメリカ大統領選について、アメリカ政治の基本構造を知っておくことが大切だと考えています。
第一に、アメリカ国民は大統領と議会の議員の双方を選択していること。日本における地方自治体における首長と議会を選ぶ仕組みに似ています。
第二に、アメリカは連邦制の国であり、50ある州が独自の権限を持っていること。よって大統領選の基本的なルールも州によって大きく異なります。
第三に、共和党と民主党の二大政党制が政治の仕組みと不可分に結びついていること。
以上のような複雑な仕組みに基づいて戦われています。
さて、その戦いの争点はというと経済政策、社会政策、安全保障政策、連邦制の解釈という4つに集約されていますが、従来であれば保守寄りの共和党と、リベラル寄りの民主党の対峙に変化が生じており、その最大の要因は有権者の怒りであり、限界に達している政治不信ではないか、と考えています。
共和党では、政治経験がないトランプ候補が、有権者の政治不信を代弁するかのような暴言を繰り返しながらトップに立ち、民主党では大本命のクリントン候補が、自ら社会民主主義を公言するサンダース候補にしぶとく追われ、従来のエリート政治の常識を拒絶する方向に向かっているのは間違いないでしょう。
「貧困大国アメリカ」(著者:堤 未果)にもあるように、行き詰った大国に国民のうねりがが激しい変化をもたらすことになると、世界の方向性に対しても長期的な影響を与えることに危惧を抱いています。