食品の安全性問題は、遠い昔から世界中で多くの人の関心事でした。
十分な食べ物がなかった時代ではなにが食べられるかが問題だったでしょうし、栄養不良や食中毒は現代においても大きな問題としてあり続けています。
先日、「ほんとうの食の安全を考える」(発行:化学同人)を読んだら、かなり衝撃的な内容が掲載されていた。
それは”天然添加物”についての記述であったが、私たちが大きな矛盾を当たり前のように信じ切っているという事実です。
実は、日本で使われている食品添加物は
指定添加物、既存添加物、天然香料、一般食物添加物の分類されており、指定添加物は、361品目(平成18年9月現在)あり、一般的には評判が悪いが、安全性評価を経て使用が認められているので、科学的根拠は比較的しっかりしているとのこと。
その一方、天然添加物は既存添加物のグループに分類されるものが多く、安全性についてのきちんとしたデータがないそうです。
しかし、その品目は450で指定添加物より多い。(現在、再評価が実施されており、どんどん削除はされている)
その他天然香料(約600品目)は使用量が極めて少ないこと、一般食物添加物は例えばイチゴ風味ゼリーにイチゴを使用するといった食品そのもののことなので、いずれも問題になることはないそうです。
問題は、既存添加物は多くが天然物であるため何が含まれているかの組成も明確ではなく、物理化学的性状が変動するため実験における評価が進まない一方で、私たち消費者の「合成添加物」への拒否感情により、製造業者が安全性の確かでない天然添加物へ切り替える動きが加速しているとのこと。
なんとなく「天然」だから安心?というイメージだけで、「消費者がそれを求めている」という理由がどこからか先行し、私たちも真実をよく理解しないまま誘導されてしまっている、そうした現実があると指摘しています。
食品の安全性の分野は、一般紙やテレビメディアの発信、ネットや書籍など間違った情報に翻弄されることなく、保健所など行政の食品安全に関わる専門機関からの情報を参考にしていかなくてはなりません。
私もそうした垂れ流されている情報をしっかりとリテラシーできるよう力を注いでいきたいと思う。