8日、今、全国から視察が殺到しています岩手県紫波町「オガールプロジェクト」へ。
同プロジェクトは補助金に頼らない新しい公民連携の未来予想図として先駆的な事業が注目を集めています。
少子高齢化による人口減少、国からの地方交付税や補助金の削減。厳しい財政状況の中で地域活性化に悩む地方自治体は少なくない。従来型の公共事業のあり方が問われる今、補助金に頼らない公民連携で地域活性化を進めているのが、人口約3万8000人の岩手県紫波町(しわちょう)です。
「オガールプロジェクト」と呼ばれる計画で、駅前の町有地10.7ヘクタールを中心に、ホテルやバレーボール専用体育館、図書館、カフェ、産直マルシェなどが入居する施設を相次いでオープン。年間80万人が訪れるようになっているそうです。
1)図書館や産直マルシェが入る「オガールプラザ」
2012年6月に開業したオガールプラザは、紫波町産の木材がふんだんに使われたという建物に親しみやすさを感じます。
1階には、中核施設となる紫波町図書館があり、隣接するのは、「紫波マルシェ」。ここは、その日の朝に採られた新鮮な野菜をはじめ、ソーセージやベーコンといった畜産加工品、三陸産の魚介類、スイーツなどが並ぶ市場として賑わっていました。
そのオープンに先がけて、2011年4月には岩手県サッカー協会が運営する「岩手県フットボールセンター」が盛岡市からオガールプラザ近くに移転。オガールプラザと合わせて、2012年は目標30万人の2倍以上にあたる30万人が訪れ、黒字を達成しています。
2)日本初バレーボール専用体育館を備えた「オガールベース」
オガールプラザと対となる新しい施設「オガールベース」の特長は、日本初というバレーボール専用体育館「オガールアリーナ」。
オリンピックやワールドカップといった世界的な大会で採用されている床材を用いたトレーニング施設で、オープンを記念して、Vリーグのチームが記念試合を披露したそうです。アリーナには、宿泊施設である「オガールイン」が隣接している。ビジネスや観光の拠点として宿泊できるホテルだが、合宿用のドミトリーも用意。さらなる集客を目指していました。
従来の官民連携事業と大きく異なると感じたのは、民間事業者と連携が不得手な行政と経験やノウハウなどを持ち合わせ、収益やサービスの向上へスピーディーな民間事業者との代理人的な役割、いわゆるエージェントとして担ったのが、オガール紫波(株)でした。
その結果、まずテナントを固めてから、建物の規模や建設費用を算出し、建設費用のコストカットのため、特別目的会社がオガールプラザを約11億円で建設。
その後、公共施設部分を紫波町に売却、売却した費用以外は、東北銀行の融資や町と政府系金融機関の出資で賄うというスキームで作り上げられた点です。
非常に参考になる官民連携事業の一端を拝察でき、世田谷区における大きな課題となっている官民連携事業の具現化へ活かしていきたいと思います。