来年度予算の採決に先立ち、我が党としての賛成の立場からの意見を全文掲載いたしますので、ぜひご一読ください。
<平成23年度世田谷区一般会計他4件の予算に対する意見>
はじめに、東北・関東大震災発生から、18日が経過いたしました。
このたびの震災で多くの尊い命が失われたことは本当に残念でなりません。また被災なされた皆様方に、重ねて心からお見舞いを申し上げます。
被災地では、今なお不眠不休で懸命な復旧活動が自衛隊や警察、消防をはじめ海外各国からの救助隊を中心に展開されている一方で、避難所では、未だ多くの人々が避難生活を余議なくされ、不安な日々を過ごされています。
救援物資が十分ではないにもかかわらず、自治体職員やボランティア、さらには地元地域の方々が、劣悪な環境下のもと、懸命に被災者を支えておられます。
併せて、福島原子力発電所事故を巡る問題についても、その解決に向けて政府が全力で取り組むことを強く望むものであります。国難ともいえる危機的な状況ではありますが、今こそ1800ある自治体が力を合わせて被災地の1日も早い復興に向け、それぞれの役割を果たすべき時であり、そのリーダーたる責務をぜひとも世田谷区が担うべきと考えます。そして我々ができることは節電と共に、こうした災害がいつ起きるかもしれない不安と真正面から対峙をし、災害に動じない世田谷を、地域を、今から創りあげていくべきです。
それでは平成23年度世田谷区一般会計予算ほか4件の特別会計予算に賛成の立場から公明党世田谷区議団としての意見を申し上げます。
初めに今般の予算編成では、区の一般財源の大幅な減収が続き、少子高齢化に伴う進展や景気の不安定からくる閉そく感により、社会保障関連費が増大している中、これまでにない聖域なき政策点検の実施によって、ワクチンの公費一部助成や高齢者見守り施策の推進など効率的な配分が行われたことには、一定の評価をいたします。しかしその一方で、債権管理の更なる徹底、税外収入への新たな確保へ向け、未だ課題は山積しております。当面、財政状況が好転することが見込めない中、自立都市せたがやの実現には、新たな自治体戦略として、これまでにない民間活力型経営ビジョンのような大胆な発想をもって、立ち向かっていかなくてはならないと考えます。87万人を超える区民の皆さんの生命と財産を守るべく、自治体基盤の耐震化に取り組むことを求めます。
さて、予算特別委員会において各所管で取り上げました個別課題は、今後の推移を見守りたいと思いますが、特に、これからの区政を展望した上で、我が党として最重要課題として捉えている施策について、以下具体的に5点にわたり、申し述べたいと思います。
1点目は、防災対策についてです。これまでの対策に改めて検証を加え、あらゆる施策を総動員し、改めて迅速に強化へ取り組まなくてはなりません。
具体的には、第一に被災地への支援体制として、公的住宅等への受入れや公共施設への一時避難としての受入れ先の拡充や被災地域からの児童・生徒の受入れ体制の即応性の強化です。第二に、区としての防災対策の強化として、避難路を含めた主要道路の沿道建物の耐震化の更なる促進や公共施設の耐震二次診断への早急な着手を求めておきます。我が党としましても、来期早々には、「災害に動じない!防災ビジョンせたがや」を提言し、実現へ向けて総力を挙げて取り組んで参る所存です。
2点目は、高齢者政策についてです。来年度より実施予定である見守りネットワークや高齢者安心コールの拡充、さらにはトワイライトスティや軽費老人ホーム整備は、福祉先進都市せたがやの根幹となる事業ですので、モデル実施などを重ねながら地域の実情に合ったサービスとして確立することを期待しております。
3点目は、環境配慮政策についてです。今般の災害におけるライフラインの脆弱さを鑑みると、特に電力に関しては、化石燃料や原子力依存の資源供給型から自然・再生エネルギー型へ、水資源に関しても雨水の利活用などによる自然資源活用型へ大きく発想を転換せざるを得ません。さらには、街路灯などの省エネ化や自然エネルギー対応型への転換も踏まえ、一般家庭への太陽光発電パネルや雨水タンク設置助成の一段の拡充も含め、更なる環境配慮型への転換に向けた促進策を求めていきます。
4点目は、教育についてです。来年度は世田谷教育ビジョン第2期行動計画最終年度にあたります。世田谷9年教育の試行・検討が始まることを踏まえ、土曜補習や朝学習などを取り入れた質の高い公教育への期待は高まります。その一方で、特別支援教育との推進をきっちりと融合させたボーダレスな教育環境の充実を改めて求めておきます。
5点目は、来期へ向けた我が党の施政方針を述べたいと思います。
水環境は、地球規模で危機的状況に陥っています。人間が生きていく上で不可欠な水資源を破壊することは、人間自身を破壊することに通じます。従って水環境を保全することは、すべての生命を育むことに通じます。
高齢者の知恵と経験は、現在と未来を豊かにするかけがいのない宝です。高齢化社会とは、高齢者を真に尊ぶ気風をつくることが、社会の持続的な繁栄の基礎となると確信しています。
世界的な食糧問題では、我が国における農業と深いかかわりがあります。農業を振興することは、社会の文化や伝統、生命の尊厳や環境問題をはじめ、人類の未来のあり方を考えることに通じますし、教育の質を高めることは未来を担う子どもの幸福の礎となります。
ゆえに今後は、そうした視点で、「我が地域の未来をどういう考え方に委ねるのか」といった議論に力を注いでいくべきです。それにはまず地方議員自らが、きちっとした価値観をもち、その価値観を投げかけながら、地に足をつけた草の根の基礎を持ち、住民のニーズを汲み取っていくことが必ず重要になることを訴えておきます。
そのために我が党も全力を挙げて、働いて参る所存です。
最後になりますが、ご勇退される熊本区長をはじめ今期をもちまして、定年退職をされる208名の職員の皆さま方におかれましては、長年にわたり、わが身をなげうって、公務にご尽力されましたことに最大の敬意と感謝をもって御礼を申し上げたいと思います。どうか健康にはご留意され、これまで蓄積された知恵と豊かな経験をもって、「天下り」との批判を打ち返し、次の立場で最大限に生かされることをご期待して、公明党世田谷区議団の意見とさせて頂きます。