現代人は「悩む力」が、衰退しているように思います。自分の思い通りにいかないとすぐに暴力に走る、諦める。凶悪犯罪、児童虐待、自殺の増加などは、そんな一面を感じさせる。
その昔、釈迦は法華経の中に、「どうすれば、人々を無上道に入らせ、速やかに成仏をさせることができるだろうか」と説いている。これは仏が常に心に懐いている精神である。初めからその方法を知っているのではなく、「どうすればこの人を」「どうすればあの友を」と心を砕き、精神闘争をしている姿を表している。
悩みがあることが、決して不幸ではない。むしろ悩みがあるからこそ、自身の精神を強固なものに築くことができ、何があっても負けない自分をつくりあげていくのだろうと思う。あの人のために、この友のために尽くしていく中に、気がつかないうちに自分が悩みを乗り越える力を蓄えているのだと確信しています。目先の苦悩を悠然と見下ろす自分でありたい。富士のように微動だにしない自分を・・・。