雨にまつわる話・その2ですが・・・・。『五風十雨』という言葉があります。
この言葉は、中国から伝わったことわざで、5日に1度くらい穏やかな風が吹き、10日に1度ほど適当な雨が降るような気候を言うそうです。
このような天気は農作物や農作業、さらに生活全般にも好都合であり、転じて、世の中が天下泰平に過ぎていくという意味にもつかわれるそうです。
水田耕作が始まって以来、天候は農耕に携わる者の第一の関心事であった。
その証拠に古来から使われてきた暦からも知ることができる。
約15日間隔で季節の推移を表す二十四節気、15日をさらに3分割した七十二候などは季節の推移を知るための農事暦として古代から活用されてきた。
立春、啓蟄、春分、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至、小寒、大寒や八十八夜の茶摘み、二百十日の台風など現代に生きているものも多いのです。
こうして天候に対して細心の注意を払いながら農作業を進めても、台風や冷夏、日照りなどによって大きな被害を被るのも常であったのだろう。
『五風十雨』は農作業を営む人々の切なる願いであったと言えるのではないだろうか。
では、順調な天候という点からみて現代社会はどうだろうか。『五風十雨』からはほど遠い。
エネルギーの大量消費などによって、地球は温暖化し、豪雨や干ばつなどの異常気象が多発している。社会はが都市化するにつれ、自然災害は格段にスケールが大きくなり、その影響は複雑に、かつ広範囲に波及するようになった。
今こそ『五風十雨』の自然を感じ、大切に思う心こそ、21世紀には不可欠であると信じる。