本日、第3回定例会の最終日を迎え、本会議が開議されました。
先に行われた決算特別委員会における審議の経過について委員長より報告の後、各会派より意見開陳が行われ、公明党としては大綱以下について申し述べました。
<意見開陳>
教育は、次世代の人間と文化を創る厳粛な事業です。したがって、時の政治権力によって左右されることのない、確固たる自立性をもつべきものであります。
その観点から考察すると、未来を切り開くのも平和を創るのも人間です。その人間を育て、知性を磨きゆく力が教育であり、あくまでも、人間のためにある教育こそが人間の幸福のためにあると言っても過言ではありません。ゆえにわが党は「教育のための社会」を旗印に掲げ、教育投資の抜本的な充実に向けて取り組んでまいります。
平成28年度の財政運営については、雇用・所得環境が改善し、景気も緩やかな回復が続く一方で、個人投資や民間設備投資は、力強さを欠いた状況であり、生活現場における実感は未だ伴っていないのが現状です。
世田谷区においては、梅ヶ丘拠点整備などの大規模事業や保育待機児解消へ向けた保育園運営費などの子ども関連や地域包括ケアシステムの全地区展開へ向けた社会保障関連経費などが増大しており、さらに公共施設管理に伴う維持経費などにより、特別区債が前年度比187.8%増の80億6,600万円となっています。今後見込まれる本庁舎等整備などの投資的経費や一定期間における区内人口増予測を踏まえると、決して予断を許さない緊張感を持った区政運営が求められます。
特に、今後の自治体運営を見据えれば、必要な事業へ人と資金を投じ、そうでない事業は廃止するなどの英断が求められているはずです。
具体的には、どの事業に力を入れ、どの事業を見直すのか、何をもって行政改革と位置付けているのか、重複事業の整理や統合など、具体的な事業検証を早急に行うことを求めておきます。
第1に、「未来への投資、教育の充実を目指す観点から5点について」
1点目は、「幼児教育無償化について」
わが党は幼児教育から大学を含む高等教育まで大胆な「教育の無償化」の実現へ向けて、まず2019年まで幼児教育(0歳から5歳)無償化を目指しています。その背景は、子育てや教育にお金がかかりすぎる経済的理由などにより理想の家庭を築けない、が半数を超えている調査結果を踏まえ、私費負担の割合が多い状況から、公的負担への役割を拡大すべきとの結論に至っているのです。
国の動向を見据えつつ区として幼児教育無償化への検討に着手し、その結果を取りまとめるべきと求めておきます。
2点目は、「学校給食費の無償化について」
そのメリットはあくまでも子育て家庭への負担軽減です。世田谷区における保護者に負担して頂いている給食費に係る食材費は、年間25億円となっており、安定的に財源をどう確保するのかが課題であることは理解をしております。であるならば補助制度として段階的に負担軽減を講じている自治体も既にあることを踏まえれば、こうした段階を踏みながら最終的に無償化へとつながるよう道筋を立てることが求められています。問題提起と受け止めてから今後、どう取り組んでいくべきなのか早急の検討をすべきと申し上げておきます。
3点目に、「児童館改革について」
わが党は児童館運営に民間事業者の参入を促進すべきと訴えてまいりました。特に、民間運営では、経費面や柔軟な運営体制の設定やそれに伴う時間帯の在り方、イベントの工夫などによる来館者増加などのメリットの創出が考えられます。さらに児童館は児童福祉法に定める児童福祉施設として、今後新BOPを含めた地域のすべてのこどもの健全育成をすすめていくことを基本に、妊産婦を含めた子育て支援の拠点として地域のネットワーク作りや子ども・子育てを軸とした身近なコミュニティーの拠点として担う役割がさらに高まってきます。特に、区内における児童館は太子堂、上馬、代沢、北沢、松原、奥沢、九品仏の7地区では未整備であり、今後、どのように整備を促進していくのかが、区の取り組むべき大きな課題です。この機に未整備地区への新たな児童館を設置に向けては、民間事業者を運営へ誘致すべきであると再度訴えておきます。
4点目に、「学童クラブの時間延長について」
新BOP事業は少子化の進行や女性の社会進出等、子どもを取り巻く環境は大きな変化の中で、子どもの健全育成を図る意味で、子育て家庭への支援と、子どもの居場所を確保し、自由な遊びや体験・交流の場や仕組みを充実していく、世田谷区としてでは公共の重要な役割と位置付けています。特に、学童クラブは、保護者の就労などのため、放課後に家庭で保護・育成にあたることのできない世帯の小学校低学年児童に、一人一人がのびのびと安心して過ごせるよう配慮し、心身の健やかな成長を促すことを目的に運営しています。ゆえに職員の勤務体制の見直しを行ない、働き方改革のニーズに柔軟に応えるべく午後7時以降までの延長を求めておきます。
5点目に、「休日・夜間保育について」
超高齢社会へと突入するわが国における社会保障を担う医療・介護従事者を中心とした業種における子育て支援について、近年関心が高まっています。特に、2025年には団塊の世代が後期高齢者へと移行する「大介護時代」を背景に、家族形態も大きく変化し標準世帯の減少とともに、核家族化による単身、高齢者世帯の増加により、これまで地域社会を形成してきた「支え合い」「助け合い」ができなくなり、社会保障に頼らざるを得ない人々が増えています。ゆえにその社会保障を支える立場で働く医師や看護職、介護職をはじめ、夜間勤務を余儀なくされる方々が、家族だけの依存だけでなく、安心して夜間預けることのできる保育園の整備が不可欠ではないでしょうか。そのような立場の方々への仕事と子育ての両立支援として政令市を中心に整備が進んでいる休日・夜間保育の拡充の推進を求めておきます。
第2に、「国際交流と観光政策について」
東京2020大会開催に当たっては、観光と国際交流との融合をどう図り、世田谷特有の資源を活かして内外からどう人を呼び込むのかを考えれば、地域経済活性化へとつながる両者の統合は必然であります。
発想と展開は民間ノウハウで、様々な対策や考え方の整理は行政で担うなど明確なコンビネーション体制が求められているのです。まず観光の視点では、まちなか観光や回遊では発展性はなく、人の賑わいは決して生まれません。
また、国際交流については例えば、既に総務省、務省、文部科学省との協力の下で国際交流事業を実質的に展開している一般財団法人自治体国際化協会(クレア)における既存の自治体間交流や国際協力事業を活用して、自主的に定める計画を基に柔軟性のある事業を生かさない手をありません。ぜひ「国際都市自治体サミット」とか「世田谷とアメリカ文化の融合」など心躍る企画を速やかに講じるべきと強く訴えておきます。
第3に、「図書館ビジョンについて」
今般示された「第2次世田谷区図書館ビジョン・第2期行動計画(素案)」では、未だ民間活力の導入という目的と意義をこの時期に至っても理解されていないと言わざるを得ません。まず、公共施設としての図書館を民間事業者による新たな発想と展開によって図書の貸し出しや自習だけの単層空間ではなく、幾層にも及ぶ魅力ある公共空間サービス拠点として生まれ変わるべきです。それにはまず、全ての図書館を民間市場に晒してその可能性を探るところから入るべきです。その上で、中央図書館を含めた地域図書館改革の道筋を明確に示すのがビジョンです。既得権益からの勇気ある英断を求めます。
その後、表決となり、賛成多数で平成28年度世田谷区一般会計歳入歳出決算ほか4件は可決されました。
賛否一覧は以下のとおりです。