2016年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は、前年度比18.7%増の12万2578件に上ったことが17日、厚生労働省の速報値で分かりました。
この件数は、全国39都道府県で増加し、統計の残る1990年度から26年連続で最多を更新したことになります。
厚生労働省では、虐待への社会的関心が高まる中、家庭内暴力を子どもが目の当たりにする「面前DV」で警察からの通告が増えたことなどが要因とみています。
虐待の内容は、面前DVを含む「心理的虐待」が3割増の6万3187件と半数を占めており、「身体的虐待」は1割増の3万1927件、育児放棄の「ネグレクト」が微増の2万5842件、「性的虐待」は1622件とのことです。
また、都道府県別では大阪が1万7743件と依然として多く、次いで東京1万2494件、神奈川1万2194件となっています。最小は鳥取県の84件。
さらに、児童相談所の全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」につながった通報は、2016年度は5万4000件を超えています。
以前にもお伝えしましたが、昨年の児童福祉法改正に伴い、2017年度から東京23区に独自の児童相談所設置が認められ、世田谷区においてもその準備に取り組んでいますし、兵庫県明石市でも設置する計画が進んでいるそうです。
家庭の養育力が低下していると指摘されている現代社会では、地域全体で支える仕組みづくりも整えていくことが急務です。